万が一のときに命を救う！ぜひ覚えておきたい「熱中症の応急処置」とは？

熱中症とは、身体の中に熱がこもり、オーバーヒートしている状態。その処置は、「とにかく冷ますこと」が重要になります。熱中症は、安静にしているだけで回復するものもありますが、場合によっては急速に重症化します。処置や判断を見誤ると取り返しのつかないことにもなりかねません。

とはいえ、トラブル時は何かとパニックになりがち。気が動転して、何もできない保護者さまも多いかもしれません。いざというときのために、特に忘れてはいけないポイントを3つに絞って紹介します。

ポイント１：応急処置の第一歩は、「涼しい場所」への移動！

熱中症になると、子供はぐったりします。その様子を見て、気持ちばかりが焦り、何もできない……。刻一刻と時間は経ちます。子供が熱中症になったら、「まずは涼しい場所」へ！とにかくこのポイントを、まずは頭の中に叩き込んでおきましょう。

屋外であれば風通しのいい木陰へ、屋内であればクーラーの効いた部屋に移動します。もし、「めまいがする」「手足がしびれる」「気分が悪い」などのように、重症度の低いものであれば、比較的安心。涼しい場所で休息し、水分を補給すれば回復します。

ただし「頭がガンガンする」「嘔吐する」など、重症度が高い場合は要注意。しっかり身体を冷やすことが必要です。

・可能な限り衣服を脱がせる
・水をかけてうちわであおぐ
・わきの下や太ももの付け根を冷やす

こうした工夫で、身体の熱をとってあげましょう。なお、わきの下や太ももの付け根は、大きな血管が流れている部分。冷やすことで効率的に熱を冷ますことができますから、覚えておきましょう。基本的には氷のうやアイスノンで冷やしますが、冷たい飲料が入ったペットボトルでも代用OKです。

ポイント２：しっかり「水分補給」を！

涼しい場所へ移動した後は、冷たいスポーツドリンクや水分をどんどん飲ませてあげてください。

熱中症になるときは体温が急上昇し、大量の汗をかいています。水もしくはスポーツドリンク、あるならば経口補水液を飲ませてあげましょう。ただし、内臓が上手く働いていない場合は、飲めなかったりや吐いてしまったりすることもあります。その際は、速やかに医療機関に運んでください。

ポイント３：「意外なNGツール」を覚えておく！

熱中症は、熱を冷ますのがポイント。となると使いがちなのが、「冷却ジェルシート」「解熱剤」です。ところが二つともNGだということをご存じでしょうか？それぞれの特徴をもとに、理由を説明しましょう。

＞＞NGツール１）冷却ジェルシート

薬局やドラッグストアで販売されている「冷却ジェルシート」。貼るだけでいいので手軽ですよね。ひんやりした感触があり、いかにも身体の熱をとってくれそうな気がします。

ただし、体表面を持続的に冷却する力は弱め。実際に、冷却シートのパッケージを見ると、「本品は医薬品ではありませんので、熱さましの補助としてご使用ください」との記載があります。要は、放熱効果は低いということ。濡れタオルぐらいと思っているといいでしょう。熱をとるという意味では、保冷剤や氷のほうが効果は期待できますよ。

＞＞NGツール２）解熱剤

解熱剤も、基本的にNGです。風邪やインフルエンザにかかったときに発熱するのは、熱中症とは仕組みが違います。風邪やインフルエンザの場合、「ウイルスを撃退しなくては！」と脳が判断。ウイルスは、決まった温度でなければ増殖できません。そこで脳が指令を出して体温を上げ、ウイルスを死滅させようとしているのです。

解熱剤は、この「脳による指示」を妨害する薬。ですから、体内に熱がこもることで起きる熱中症においては、解熱剤を飲んでも意味はありません。効果が期待できない、何より使う必要のない解熱剤を飲ませることは、絶対にやめておきましょう。

応急処置だけで大丈夫？病院に行くときに気をつけること

応急処置をしても、回復しない場合があります。意識がない・おかしい、まっすぐ歩くことができない場合は、一刻も早く病院で診てもらいましょう。特に、まだ小さい子供の場合は、急に重症化する恐れもあります。危険なサインが出てきたら、すぐに救急車を呼ぶべきです。

また、熱中症は、病院に着いたからといって安心はできません。即座に治療に入ることが必要です。そのためにも、熱中症で倒れるまでの経緯や倒れてからの症状を、正確に伝えられるよう状況を整理しましょう。

熱中症は、適切な処置さえすれば、心配するには及びません。でも逆に、判断や処置を誤れば、生命の危険を招く恐れもあります。とっさのときも焦らず行動できるよう、今回紹介した3つのポイントを、しっかり頭に入れておいてくださいね。