熱中症対策の水分補給のベストって?ドリンク徹底検証!

熱中症対策といえば、まずは「水分補給」が大切。ただし、ただ水分を摂ればいいというわけではありません。摂り方を間違えると、余計に危険な状態に陥ることもあるのです。

そこで今回は、「熱中症になったとき」「熱中症を予防したいとき」という二つの目的に分けて、オススメのドリンクをそれぞれ紹介。熱中症予防のドリンクを買う参考にしてくださいね!

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熱中症になったら……最優秀ドリンクは「経口補水液」!

熱中症になってしまったら、「いかに効率的に水分補給するか?」がポイント。その点でベストなドリンクは「経口補水液」です。

最近ではドラッグストアや薬局などで、よく見かけるようになりましたよね。病院帰りに調剤薬局へ行き、「お子さんの発熱時の水分補給にいいですよ!」とすすめられた経験をもつ保護者さまもいるのでは?

もともと経口補水液による治療法は、開発途上国で生まれたもの。いまでは世界中に広がり、「20世紀最大の医学上の進歩」とも呼ばれています。「WHO」(世界保健機構)の集計によれば、発展途上国を中心に、年間100万人の子供達が命を救われているのだとか。「命の水」と呼ばれるのも納得ですね。

日本では、「個別評価型病者用食品」というカテゴリーで売られています。なんだか仰々しい名前で、あたかも画期的な成分が入っていそうなイメージです。

ところがその実態は、「水+砂糖+塩」。ありふれた材料を混ぜただけのドリンクです。とはいっても、もちろん混ぜればいいだけではありません。特に大切なのは、そのバランス。「水1Lに対して砂糖40g、塩3gの配合」という「黄金比率」を守ることが重要です。

ところで、なぜこれが黄金比率なのでしょうか?その答えを探るキーワードは、「小腸での吸収」です。

腸には大腸や小腸など、複数の腸があり、それぞれに働きが違います。通常は、

・大腸・・・・・・・主に「水分」を吸収する
・小腸・・・・・・・主に「栄養分」を吸収する。

という役割分担をしています。ところが脱水時には、大腸での水分吸収が困難に。そこで登場するのが小腸。大腸の代役として、一時的に水分の吸収を引き受けてくれるのです。

そして!小腸での水分吸収を促してくれる配合が、先ほどの黄金比率。緊急時に効率よく吸収させようと思ったら、「小腸での吸収」を意識することが大切なのです。

熱中症の応急処置で、飲み物が必要な場合、すぐに手に入るのならぜひ経口補水液を選んでくださいね。

熱中症を予防するなら!「ベスト3」のドリンクを紹介

次は、熱中症予防に役立つドリンクについて。日常的に飲みやすくて、予防効果も期待できる「ベスト3」を紹介いたします。

>>1)麦茶

まずは、「麦茶」です。

古くは、平安時代から夏の飲み物として飲まれていたという麦茶。仕組みは分かっていませんが、昔から「身体の熱をとる」「身体を冷やす」といわれてきました。「赤穂化成」と「伊藤園」及びノザキクリニックが行った共同研究(「海洋深層水ミネラルを含む麦茶飲料の継続飲用がヒト循環器指標に及ぼす影響」)でも、「麦茶を飲むと体温が下がった」いう結果が発表されています。

麦茶には他にも、胃の粘膜を防ぐ作用や、虫歯菌などのバクテリアの定着を阻害する作用があるともいわれています。夏は暑さの刺激で、胃も弱りがち。いつもの調子で食べすぎると、夏バテを引き起こしかねません。しょっちゅう間食していると、虫歯のリスクも高くなります。ついつい暴飲暴食してしまう子供にも、麦茶は良いかもしれませんね。

何より魅力なのは、その手軽さ!夏場であればどこの家庭でも準備があります。カフェインやタンニンなどの刺激物質も入っていませんから、気軽にたくさん飲めてオススメです。

>>2)トマトジュース

実は、トマトジュースも熱中症予防には有効です。なんだか意外ですよね!

なぜトマトジュースが熱中症予防になるのでしょうか?それは、熱中症にかかりやすくなる要因の一つに、「疲れている」という条件があるためです。

人間が活動すると、脳や筋肉で酸素を大量に消費します。その結果、体内に疲労物質である活性酸素が発生。従来は疲労の原因というと、「乳酸の蓄積」という説が広く知られていましたが、最近では事情が変わってきました。研究により、実は活性酸素が疲労の原因であることが分かってきているのです。

疲れることで熱中症にかかりやすくなるのですから、「活性酸素の除去」も、熱中症対策のポイントになりそうですね!

トマトには、リコピンという栄養素が含まれています。リコピンには、まさにこの活性酸素を除去する力があります。塩分も豊富に含まれているので、汗で失われるナトリウムの補給にも有効。理にかなったドリンクなのです。

実は、トマト製品で知られる「カゴメ」では、2013年にトマトを使ったスポーツドリンクを発売しています。「熱中症対策にも!」という売り出しでしたが、残念ながら結果は……。「スポーツシーンでのトマトの摂取」というコンセプトが受け入れられなかったためか、早々に見なくなりました。

朝食がパン派の子供なら朝食に、もしくはおやつ時のドリンクに、というように、自然な形で摂るといいですね!

>>3)牛乳

水分補給とは遠いイメージにありますが、牛乳も熱中症予防には有効です。
  
実は、熱中症になりやすい条件の一つとして、「血液の量が少ない」というものがあります。ですから熱中症を防ぐためには、「血液の量を増やすこと」が一つのポイントとなるのです。

ところで、牛乳と血液量、どう関係があるのでしょうか?

実は、信州大学大学院・医学系研究科の野瀬博教授の研究により、「運動+牛乳」の相乗効果で、血液量が増えることが分かりました。必要な条件は次の通り。

・個人の体力に合わせた「ややきつい運動」を1日30分~60分行う。
・運動後すぐに、牛乳などの乳製品を摂取する。

これを5~10日間続けると、年齢を問わず血液量が増加。それに比例して体温調節能が改善したそうです。

ただしカロリーが高めの牛乳は、飲みすぎると肥満を招きます。必ず運動とセットで飲むようにして、体重をコントロールしてあげてくださいね。

のどが渇く前に!こまめに水分を補給しましょう

私たちは普段、「のどが渇いたから」と水分を摂ることがほとんど。ただし、実際に体内で脱水が始まってからのどが渇くまでには、時間差があります。水分を失ったからといって、すぐにのどが渇くわけではないのです。

熱中症が起こるような暑い環境にいると、さらに水分が失われるスピードが上がります。「のどが渇いた」と感じたときには、すでに脱水状態が進行しているのです。のどの渇きを感じていなくても、定期的な水分補給を行いましょう。「こまめな水分補給」こそが、熱中症対策の基本です。

また、運動などで発汗が激しいときは、ナトリウムも急速に失われます。スポーツドリンクを飲むなどして、ナトリウムも同時に摂取しましょう。安静時であれば汗はさほどかきませんから、麦茶でもOK。今回お伝えした情報を参考にしながら、状況に応じて飲み物を使い分けてあげてくださいね。

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