▲健康RSLパフォーマンスのスタッフの皆さん
10歳から16歳に向けた成長期の子ども向けサプリメントがある。オンラインショップ「健康RSLパフォーマンス」が販売している「カラダアルファ(α)」シリーズで、1年間で4倍と急成長しているらしい。
普段はファッション業界を中心にショッピングモールなどを取材している身だが、これは個人的に見過ごせないニュースだった。私自身は独身貴族だが、惜しみない愛情を注ぐ13歳の姪がいるからだ。
それに、なぜそんなに全国の母親たちから熱烈な支持を集めているかも気になった。購買層が重なるファッションブランドでも、1年で売り上げが4倍に増えるようなことはたいへん珍しいからだ。
今回、お話をうかがったのは「健康RSLパフォーマンス」の神山裕介さん。開発担当であり、日本ニュートリション協会公認のサプリメントアドバイザーでもある専門家だ。まずは単刀直入に、なぜ売れているのか聞いてみた。
「ひと言でいえば、多様性です。同業他社とは一線を画した様々な取り組みがお母さん方に支持されたと思います」
とのこと。人気の理由は1つだけではないらしい。続けて話を聞くと、そこには通販の常識をくつがえす10もの秘密があったのだ。私は仕事柄、ネットや通販を取材する機会も多いが、売り上げを伸ばす通販ショップには常識といえるやり方、いわゆる成功の方程式が存在する。
しかし同社はその方程式と真逆の取り組みでここまで伸びてきたのだ。
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健康食品業界では慣例の「お試しセット」がない!
「よくあるお試しセットは用意していません。それはサプリメントの効果を重視しているからです。サプリメントはお薬ではないため、短期間では効果を実感できず、少量ではお試しにはなり得ません。栄養価の高い野菜を1週間とるだけでは健康にならないのと同じです」
でも、そこは子どもに飲ませるもの。試用できないのはあまりに不親切ではないだろうか? 不躾かと思ったが、そのまま疑問を投げかけた。
「私たちは、まず気楽に試そうという方へのサービスよりも、最初からお子さんのためにきちんと調べて選んでくださった方や、いつもご利用いただいている方へのサービスにこそ力を入れるべきだと思っています。お試しセットで簡単かつ大量に新規のお客様を開拓することは、その方々にとってプラスにはならないんです」
確かにその通りかもしれないが、私には正直、合点がいかない気持ちがあった。
この時点では、まだ同社の大きな方針がつかめていなかったからだと思う。
加えて「定期購入制度」も、「返金保証」もなし!
▲さっぱりと話すカラダアルファ(α)開発担当の神山裕介さん
さて次に、2つ目の秘密に話は移った。
「通販のサプリメントでよくある定期購入制度もありません。お店から見ればリピート率の高まる仕組みのひとつですが、お客さまから見れば必ずしも便利なサービスとは言えません」
個人的には、定期的に商品を送ってくれる方がありがたいし、便利だと思うのだが…
「まだ残っているのに商品が届いたり、申し込んだことを忘れて思いもよらない決済が掛かったりということが起こるからです。もう必要なくなったときも、わざわざ申し出なければいけません。
そうなるとお客さま――お母さんに手間をお願いすることになるからです」
顧客は日々忙しい母親なのである。サプリメントのことだけを考えているわけではないのだ。
「私たちのサプリメントは、成長期という限られた時期にご利用いただくものです。ずっと続く定期購入ではなく、必要な量を必要なタイミングで、その都度注文していただくのがベストだと考えています」
確かに消耗品といえど、この製品の場合、必要な期間は決まっている。販売者と消費者双方にメリットがあると考えがちの定期購入制度も、必ずしもそうではないということだ。
そのまま、3つ目の秘密に話題が変わる。
「また、気に入らなかったら返金保証という制度もありません。これは、サプリメントの安全性を担保することと、いつもご利用いただいている方を最優先する目的があるからです」
私は、何を言っているのかすぐに理解できなかった。
「サプリメントは食品です。当店から出荷したものが誰の手にも渡ることなく、そのままお客さまにお届けすることは事故防止や安全性の確保につながります。たとえ未開封でも、返品を受け付けてしまうと、それが他のお客さまの元に届く可能性がでてきます。少しでも安全性に疑いがあるものをお出ししたくありません」
安全性を重視することには私も大賛成だ。でも、やはり買った後でも気が変わるということもあるだろうし、その選択肢は残しておいてほしい。
「気に入らない、美味しくない、子どもが飲まないなどお客様の都合で、無制限に返品・返金を受け付けると、いつもご利用いただいているお客さまにご不便をおかけする要因にもなります」
なるほど、この神山さんのコメントでようやく話が見えてきた。お試し商品、定期購入、返金保証をやらないのは、ユーザー(既存客)を徹底的に大事にするためだったのだ。
「もちろん、ビジネス的にはそれらの施策をする方が良いのは分かっています。でも私たちは一般的な通販でやるような顧客をリスト化して利益を最大化するような手法ではなく、たとえ非効率であっても個別の対応を重視すべきだと考えています。お客さまは子どもを育てているお母さんですから」
個別だからこそ、熱烈なファンが増えているのだろう。それでは多くの母親たちが支持するサプリメント、製品そのものにはどんな秘密が隠されているのだろう?
ほんの一握りの製造環境。製品不良ゼロの秘密!
4つ目の秘密は、サプリメントの製造工程。通常、サプリメントは食品工場で作られることがほとんどらしいが、「カラダアルファ(α)」シリーズは製薬工場で作られているとのこと。それはなぜなのか?
「製薬工場で製造する理由は、工程が厳格に定められているので、安全性で圧倒的に優れているからです。(食品工場で作られる)健康食品に髪の毛など異物が混入する問題は、しばしば報告されていますが、それらはラムネ菓子などのラインを流用していることがほとんどのためです」
だから製薬工場で作られているのか。品質の維持・確保のために厳しい基準を選んでいるわけだ。
「薬(医薬品)を作る工場では、万にひとつの混入も許されません。製造管理や品質管理の基準があり、きちんと運用されているか監査も行われています。また、コストや契約の問題があるので、国内で販売されているサプリメントの4~5%ほどしか、製薬工場で作られていません」
ここまで徹底管理された環境でサプリメントを作っている。これだけでも支持を集める理由としては十分だ。
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専業主婦ならぬ「専門主婦」――等身大のエキスパート
▲現役主婦の牧さん(中央左)と坂中晶子さん(中央右)
そして5つ目の秘密である。
「子どもがいる主婦が中心になってお店を運営しています。私たちのお客さまは、子どもの成長に悩んでいるお母さんです。同じ立場のスタッフなら、より現実に即したきめ細かなサービスを提供できるからです」
人気のファッションブランドでデザイナーがファンと同世代のことがよくあるが、似た感性を持った者同士は価値観を共有しやすい。母親の気持ちや悩みをよく知る主婦スタッフは強い味方に違いない。
「もちろん、ただの主婦というわけではなく、スタッフのほとんどは私と同じサプリメントアドバイザーの資格を持っています」
専業主婦ならぬ専門(家の)主婦というわけだ。サプリメントの人気を支えているのはオフィスでお会いしたスーパー主婦たちだったのだ。
「その専門知識とお客さまと同じ立場であることを活かし、サプリメントだけではなく子どもの“健康全般”に対するアドバイスも提供し、好評をいただいています。中には電話で話が次から次へ移ってしまい、ついつい会話が長くなってしまう方もいらっしゃいます」
なるほど、全国の母親たちから熱烈な評価を得ている理由がサプリメントだけではないこと、神山さんが最初に話した多様性の意味が分かった。
「10~16歳」たった6年に秘められた想い
6つ目の秘密は、10歳から16歳の成長期に特化していること。一般的なサプリメントでは、ここまで明確に年齢層を区切っていることは珍しい。
「小さいうちは家庭の食事を優先するべきと考えています。たまに10歳未満の子どもに飲ませたいお母さんからもお問い合わせいただくのですが、基本的に注文はお受けしていません。特に小さいうちは、生涯の食習慣を作る上で非常に大事な時期だからです」
商品の販売を後回しにし、子どもの健全な成長を推奨するというお店は少数派ではなかろうか?
「10歳に満たない子どもは、どんどん身体が大きくなる10代と違って必要な栄養もまだ少ないので、普段の食事で十分な量をとることができます。あまり小さいうちからサプリメントで簡単に栄養を補給するのは、その子の成長をトータルで見ると良くないという判断です」
子どもの成長を最優先で考えているのか。何だか、いい話になってきた。
「一方、成長著しい10歳から16歳の年代では、普段の食事ではどうしてもとりきれない栄養素が出てきます。それを凝縮しているのが、私たちのサプリメントです。でも16、17歳の時期を過ぎてしまうと、サプリメントの恩恵を得ることが難しくなり、十分な効果が見込めません。なので18歳以上の方からのご注文は基本的にお断りしています」
その人にとって要らないものは売らない。この当たり前のことが実践できている企業は一体何社あるだろうか。徹底した顧客(母親)本位の運営方針だ。
バドミントンメーカーが母体という隠れた利点
さて、7つ目の秘密である。それは経営母体がサプリメントからスタートした会社ではなく、国内でトップクラスのシェアを持つバドミントンのシャトル(羽根)メーカーということ。そのため、開発に十分な時間と費用をかけることができた。
「サプリメントの発売までに7年を費やしています。また、ひとつひとつのサプリメントを作り込んでいるため、わずか4つの製品しかありません」
開発期間が7年! しかも製品は4つのみ。当然、健康食品しか扱わないメーカーには真似できない。バドミントンメーカーがゼロから作り上げた本気のサプリメントだ。いやがうえにも期待は高まる。
「バドミントンのシャトル直販では、日本でトップシェアを獲得しています。また、年間2,000校を超える学校――部活顧問の先生との交流もあるので、成長期の身体作りのサプリメントを開発する上で、その関係が大きく役に立っています」
バドミントンとサプリメントは一見、関係がないように思えるが、そうした部活の先生との交流が開発のベースにあったわけだ。
広告なしでも日本中に広がる秘密
8つ目の秘密は、大々的な広告をしていないこと。
「爆発的に新規のお客さまが増えると、どうしてもサービスの質が低下してしまいます。なので大々的な広告はもとより、パンフレットさえご用意していませんし、販促らしいこともしていません」
ここまでご紹介してきた秘密のすべてが、一貫して既に利用しているユーザーへのサービス向上に直結している。
「私たちのサプリメントが広がったのは、お母さんからお母さんへの“口コミ”です。『○○さんから紹介されて…』という方や、同じ地域・同じマンションからご注文が立て続けに入ることも頻繁にあります」
既存のユーザーを大事にする姿勢が、これだけ熱心なファンを増やしているのだろう。口コミで評判が広がっているのも素直にうなずける。
時代の流れに逆行!非効率な運営が評価
▲取材当日のサプリメントの出荷準備の様子
いよいよ大詰め、9つ目の秘密である。それは全ての商品を自社から出荷していることだという。
「外部倉庫に委託すると、お届けまでに(私たちでない)他人の手がついてしまいます、また、お客さま個人に最適なサービスを提供できなくなります。お客さまは“子どもの成長”という表題は同じでも、それぞれ個人で異なる悩みを抱えています、やはり個別の関わりが重要です」
子どもの個性は十人十色、抱えている悩みも違うため、常に顔の見える対応が必要ということか。
「時には手書きの手紙を同梱したり、何か役立つものや情報を一緒に送ることもあります。注文から出荷までの流れを画一化してしまうと、個々のお客さまに最適化したサービスを提供できなくなります。物流だけではなく、販売も自社サイト管理による通販に絞っているのも、画一化や自動化を極力避けるためです」
手間のかかる方法を選んでいるが、ここでもやはりユーザーひとりひとりへのサービス向上が最優先の目的になっている。
暴露! 美味しくないし、飲みやすくもない。その理由とは?
そして最後の秘密だが、個人的には驚きの内容だ。子ども向けサプリメントだが、なんと全然美味しくないのだという。こんなことを言っていいのだろうか?!
「味付けや飲みやすさを向上させる加工は必要ないと考えているからです。確かに子ども向けのサプリメントは続けられなければ意味がないため、美味しくするというのも分かります。しかし私たちのサプリメントは効果を最も意識しています。可能な限り栄養素を詰め込むことが優先です」
子ども向けであっても栄養素たっぷりのサプリメントを作るためなら、味も犠牲にするという潔さ。錠剤など飲みやすく加工する同業他社が多い中、勇気のいる決断だ。
「飲みやすい“糖衣”にすると、錠剤の半分を(栄養素ではない)コーティング剤が占めてしまいます。また、水や牛乳に溶かして飲むタイプにすると、粉末を溶けやすくする成分(栄養素ではない)をたくさん入れなくてはなりません。私たちのサプリメントはお菓子の延長であってはならないと考えています!」
高評価を得て健康・医療部門で1位を受賞! しかし・・・
▲2016年3月6日に行われたネットショップ大賞授賞式の様子
▲2017年現在も毎年連続でたくさんの賞をいただいています。
10の秘密はすべて、既存客に安定した質の高いサービスを提供するために必要なことだったのだ!
「健康RSLパフォーマンス」は、約2万店ある全国の通販サイトが加盟するEストアーの「ネットショップ大賞」で、夏・秋・冬の3期連続受賞に加え、「2015年間 健康・医療部門1位」を受賞した。こうして話を聞いていると当然のように思える。
▲2017年現在も毎年連続でたくさんの賞をいただいています。
最後に、今後の展望や目標について神山さんに聞いてみた。
「今後、大きく広げるつもりはありません」
いささか呆然としてしまった私を見て、淡々と続けた。
「現在、カラダアルファ(α)は、おかげさまで口コミを中心に全国のお母さん方に急速に広がっています。これ以上の急拡大が進むと既存のお客様へのサービスが低下してしまう懸念があります。いつも利用いただくお客さまを優遇して、ゆっくりと濃密にお母さんの輪が広がっていけばと考えています」
徹底している。ただただユーザー(既存客)を最優先にすることを徹底している。
取材を終えた今、支持するお母さん方の気持ちをすんなり理解でき、伸びている理由に納得することができた。私の憩いのオアシスである姪っ子にも飲ませたくなってしまった。今度、母親(妹)に勧めてみようか?