痛い!歩けない!辛い筋肉痛の軽減&回復に役立てたい栄養素とは?

身体を存分に使って運動すると、筋肉に負荷がかかります。運動後に現れる筋肉痛も、その影響の一つ。試合で頑張った翌日、子供たちは学校に行き、いつもの毎日が始まります。筋肉痛を抱えていてはかわいそうですし、練習にも支障が出ますよね。なるべく筋肉への負担を減らし、筋肉痛を予防したいものです。

今回は、筋肉疲労を防ぐために必要な栄養素をリサーチ。「筋肉痛を予防するには何を食べればいい?」「疲れた筋肉を回復するのに、役立つ栄養は?」など、「筋肉と栄養」の関係について探りました。

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筋肉痛が起こる仕組みとは?本当に乳酸が悪い?

ハードな運動をした後、筋肉に痛みが生じる“筋肉痛”。あまりの痛みで歩けなくなったり、階段が下りられなくなったり……。誰でもきっと、一度は経験したことがありますよね。筋肉痛を防ぐ栄養素を知る前に、まずは筋肉痛を引き起こす原因や、筋肉痛になる仕組みを知っておきましょう。

……とは言ったものの、現代医学においても、筋肉痛が起こるメカニズムについては、複数の仮説が立てられている状態。統一された学説は存在しません。筋肉痛がなぜ起こるのか?」という原因や仕組みについては、実はまだ、完全には解明されていないのです。

以前は、「乳酸の蓄積が、筋肉痛の原因である」という説が主流でした。なぜなら、「乳酸=疲労物質」と考えられていたためです。

その説においては、「運動して筋肉を動かすと、乳酸が溜まる」というのが、筋肉痛の引き金とされていました。さらに「乳酸によって筋肉が酸性になるため、筋肉が硬くなり、炎症や痛みを引き起こす」と考えられていたのです。

しかし最近の研究では、「乳酸の蓄積と疲労は、関係がない」という考え方が主流になってきています。

2004年に学術雑誌『Science誌』に掲載された論文では、それまでの乳酸についての常識とされた「乳酸疲労物質説」が否定されました。

また、「疲労」のメカニズムを分子・神経レベルで解明し、日本の疲労研究における第一人者として知られる、大阪市立大学の渡辺恭良教授も、「乳酸疲労物質説」を否定しています。

渡辺教授は、約30億円規模の国家予算を投じた疲労研究を行う中で、乳酸についても検証。「疲労の主な原因物質とされてきた乳酸には、むしろ疲れをとる役割がある」と、証明しました。

では、なぜ筋肉痛が起こる?現在もっとも有力な説は?

乳酸の蓄積が筋肉痛の原因でないとすれば、一体何が筋肉痛を引き起こしているのでしょうか?現在、もっとも有力であると考えられているのが、「傷ついた筋繊維の修復による痛み」という説です。

筋繊維とはその名の通り、「筋肉を構成する繊維状の細胞」のこと……ですが、「そもそも筋肉の構造ってどうなっているの?」と思う方もいるかもしれませんね。まずは、筋肉の種類や構造について、基礎知識を確認しておきましょう。

筋肉と一言でいっても、その構造や働きの違いによって、「骨格筋」「平滑筋」「心筋」という、3つの種類に分けられています。

このうち、いわゆる「筋肉」といったときに指すのが、「骨格筋」のこと。骨格筋とは、身体を動かす役割を果たす筋肉。たとえば腕や脚の筋肉、腹筋、背筋などが、骨格筋にあたります。

そして、「平滑筋」とは、胃や腸などの内臓を動かすための筋肉。「心筋」とは、心臓の各部屋の壁をつくっている筋肉のこと。ですから筋肉痛とは、骨格筋に起こる痛みのことを指しているということですね。

骨格筋においては、繊維状の細胞である「筋繊維」が束になり、横紋(=横しま模様)をつくっています。さらに内部には感覚神経や運動神経、血管などが張り巡らされて、筋肉を形づくっているのです。

骨格筋の筋繊維は、一本ごとに運動神経と結合しています。違う言い方をすれば、「骨格筋は運動神経に支配されている」ということ。運動神経から信号を受けることで収縮し、力を発揮するというわけです。

さて、筋肉の種類や構造について、理解が進んだでしょうか?筋肉痛が起こるメカニズムに、話を戻しましょう。

運動神経から指令を受け、筋肉が力を発揮し続けると、筋繊維がダメージを受け、細かい傷ができます。また、筋繊維のつなぎ目である結合組織は柔軟性に乏しく、度重なる収縮によって、同じく傷ができてしまうのです。

筋肉に傷ができると、傷を修復するために、白血球を中心とした血液成分が集まり、炎症が起きます。このときに、ヒスタミンやブラジキニンンといった、刺激物質が生産され、筋肉を包んでいる膜(筋膜)を刺激します。この刺激が脳に伝わり、痛みを感じるというわけです。

まとめるなら、筋肉痛が起こる仕組みとして、現在もっとも有力な考え方としては、次の通り。「筋肉痛とは、運動によって傷ついた、骨格筋の筋線維を修復する過程で炎症が起き、生成された刺激物質が筋膜を刺激して起こるもの」ということですね。

筋肉痛予防には、ビタミンB1を活用しよう!

では、筋肉痛の予防や回復のためには、どのような栄養素を摂ればいいのでしょうか?主なものを二つ紹介しましょう。

>>1:ビタミンB1

まず意識したいのが、「ビタミンB1」です。

ビタミンB1は、筋肉の疲れをやわらげるとされる栄養素。「目・肩・腰がつらいと感じたら」「筋肉の痛みに」などのフレーズで知られる、『武田薬品工業』の「アリナミン」シリーズには、武田薬品が独自に開発したビタミンB1誘導体「フルスルチアミン」という成分が配合されています。

同じく筋肉痛の緩和をうたう『エーザイ』の「ナボリン」シリーズ、『興和』の「キューピーコーワ」シリーズなど、ロングセラーの医薬品にも、ビタミンB1が主成分や重要な成分として、含まれています。

筋肉の疲れをやわらげるためにも、玄米や豚肉などを食べさせて、ビタミンB1をしっかり摂らせてあげましょう。特に運動後は、汗と共にビタミンB1が流れ出ています。すばやく栄養補給するには、サプリメントを利用すると便利ですね。

>>2:BCAA

次に心がけたいのが、「BCAA」の摂取です。

BCAAとは、必須アミノ酸であるバリン、ロイシン、イソロイシンの総称。筋肉痛や筋肉疲労の緩和に効果が期待できるとして、国内外でさまざまな研究が進められています。

たとえば、アミノ酸研究開発に、100年以上の歴史を持つ『味の素』。アミノ酸に関する総合情報サイト『アミノ酸大百科』において、スポーツ栄養科学に関する研究データを公開しています。

その中で紹介されている実験の一つが、「BCAA摂取時および非摂取時における、持続運動中の筋蛋白分解量の推移」というもの。むずかしそうな実験ですが、ざっくりと捉えるならば、「BCAAを摂るか摂らないかで、運動中の筋たんぱく質の分解に、どのような差が出るか?」ということを調べた実験ですね。

この実験では、成人男性(平均24歳)5名を対象に、運動前後の筋たんぱく質分解量を測定。その結果、運動開始前にBCAAを摂取して60分間運動した場合、運動開始から35分以降の筋たんぱく質の分解が、明らかに抑えられていたそうです。

また、医薬品開発で培われたアミノ酸研究を活かし、2003年以来、BCAA含有飲料「アミノバリュー」を発売している『大塚製薬』。1984年に日本で初めて民間の臨床運動栄養研究所として設立された『佐賀栄養製品研究所』と共に、BCAAが運動能力に及ぼす影響について研究を実施しています。

大学陸上競技部の合宿において、男子長距離選手8名を対象に行った研究によれば、「長距離走中にBCAAを摂取することで、筋損傷が軽減」「BCAAを継続的に摂取することで筋疲労、筋痛も軽減」との結果を発表しています。

研究対象の人数が限られるということもあり、筋肉痛のメカニズム解明と共に、さらなる研究が待たれる面もあります。ただ、筋肉痛に対して、BCAAが何らかの影響を及ぼすとはいえそうですね。

特に試合ともなると、激しく身体を動かすジュニアアスリート。BCAA配合サプリメントも利用しながら、筋肉痛対策をしてあげるといいでしょう。

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