運動パフォーマンス向上に!スポーツドリンクの正しい活用法とは?

スポーツ時の水分補給によく使われるのが、スポーツドリンク。水分はもちろんのこと、発汗によって失われたミネラル分も同時に補給できる機能性飲料として、子供に持たせているお母さんも多いことでしょう。運動パフォーマンス向上のためにも、必要に応じてうまく使いたいものですね。

ただし、スポーツドリンクを正しく活用するためには、知っておきたい注意点も。そこで今回は、意外と知らないスポーツドリンク活用の“落とし穴”と“解決策”を併せて紹介いたします。

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「練習中の水禁止!」は昔の話!水分補給で脱水症を防ぎましょう

保護者さま世代なら、「部活動の練習中は、水を一滴たりとも飲ませてもらえなかった……」という経験をお持ちの方も、多いのではないでしょうか?

昔は、「水を飲んで汗をかくとバテる」「水を飲むともっと飲みたくなるから、飲まないほうがいい」と考えられていました。いわゆる“スポーツ根性論”がまかり通っていた時代です。監督やコーチなどの指導者も、「甘い顔をしないほうが、子供のためになる」と考えていたのかもしれませんね。

ただし「練習中の水禁止」は、ひと昔前の話。近年では、スポーツ時における水分不足の弊害が指摘され、水分補給が重要視されるようになりました。頑張る子供を脱水症の危険から守るためにも、運動のパフォーマンスを上げるためにも、水分補給に関する正しい知識を持っておきたいものですよね。

スポーツ時における「水分補給の必要性」について、改めて基礎的な知識を確認しておきましょう。

スポーツ時における水分補給は、当然ながら「脱水症の予防」がもっとも大きな目的となります。スポーツをすると汗をかくため、体内から水分が流出。そのまま放置していると、脱水症を引き起こしてしまいます。

脱水症は、その程度によって、現れる症状が変わります。程度ごとの代表的な症状を見てみましょう。

・軽度・・・・・・・・めまい・ゆらつきなど。口の中が渇いたように感じます。
・中等度・・・・・・頭痛・悪心(吐き気)など。汗や尿の量が減り、体温が高くなります。
・高度・・・・・・・・意識障害・痙攣など。臓器不全を引き起こす恐れもあります。

脱水症を予防するためには、「汗によって失われた水分を補うこと」がポイントです。運動量や外気温、体質などによっても異なりますが、およそ1時間の運動で、約1リットルの汗をかくこともあるのだとか。それだけ大量に水分が失われたにも関わらず、水を飲まなければ……。体内の水分量が不足して、さまざまな不調をきたすのは当然のことですよね。

ましてや、まだ小さな子供たちにとって、水分不足は大きなダメージになります。適切な水分補給を心がけてあげたいものですね。

どれぐらい水分が減ると、運動に影響を及ぼす?

ところで、水分が不足すると、運動パフォーマンスはどれぐらい低下するのでしょうか?

運動パフォーマンスの低下を考える上で意識しておきたいのが、「体重の1%」という目安です。スポーツ時の発汗によって、身体の水分量が徐々に減少。体重に対して約1%低下したあたりから、少しずつパフォーマンス低下が始まるそうです。

<水分量の低下率と影響の目安>

・1%・・・・・・・・・パフォーマンスの低下が始まり、徐々に動きが鈍くなる。

・2%・・・・・・・・・喉の渇きを覚えるようになり、パフォーマンスは確実に低下。
ただしこの時点では、自覚症状はあまりない。

・3~4%・・・・・・疲れや苦しさが出てくる。
自他共に、パフォーマンスの低下を認識するようになる。

・5%以上・・・・・吐き気やめまいなどが生じ、危険な状態に。
当然ながら、スポーツを続けることは不可能になる。

たとえば、10歳の男子アスリートを例に挙げて、考えてみましょう。

文部科学省が実施している「学校保健統計調査」によれば、平成26年度の10歳男子・平均体重は、34.0キログラム。その1%というと、340グラムです。

つまり、身体からおよそ340グラムの水分が減っただけでも、パフォーマンスが低下し始めるということ。体重の2%に相当する「680グラム」減れば、「確実に低下」するのです。意識して必要量の水分を補うことが、いかに大事か分かりますよね。

水分を摂取してから吸収・代謝されるまでに1時間~1時間半くらいかかると言われています。ですから「のどが渇いた!」と感じたときには既に、水分不足が進行しています。そうならないように、こまめに水分を補給するよう、促してあげましょう。

ただし、「水分補給が足りているかどうか?」「どれだけ足りていないのか?」は分かりにくいですよね。そこで目安にしたいのが、「運動前後の体重変化」です。

環境省が発行している「熱中症 環境保健マニュアル2014」には、「最適の水分摂取量を決定する最も良い方法は、運動の前と後に体重を測ることです」とあります。さらに「運動前後で体重が減少した場合、水分喪失による体重減少と考えられますので、同量程度の水を飲んで体内の水分量を調節することが必要です」とも指摘しています。

こうした点をふまえて、

・運動を始める30分前に、250~500mlを何回かに分けて飲む
・運動中は20分~30分ごとに一口~200ml程度を飲む
・運動が終わった後は、減った体重分を補うように何回かに分けて飲む

というように、「こまめに」「適切な」水分補給を心がけてあげましょう。

知っておこう!スポーツドリンクを利用する上での2つの注意点

汗をかくことで気になるのは、水分の流出だけではありません。

大量に汗をかいたときは、塩分(ナトリウム)の流出も気になるポイント。先ほど出てきた「熱中症 環境保健マニュアル2014」でも、「長時間の運動で汗をたくさんかく場合には塩分の補給が必要です」と、発汗時における塩分補給の重要性を訴えています。

また、塩分以外にも、汗と共にカルシウムやカリウム、マグネシウムといったミネラルも同時に流出。適切な量を補給する必要があります。そこで役に立つのが、身体内の組成に近い成分を持つスポーツドリンクというわけです。

水分とミネラルを同時に補給できるスポーツドリンクは、とても便利な存在。ただし、利用するには注意点があります。主な注意点2つ、対策と共にお伝えしましょう。

>>注意1:糖分の摂りすぎを防ぐため、半分ほどの薄さに調節する!

水分とミネラルが同時摂取できるスポーツドリンクは、実は糖分も多め。通常の濃度で大量に飲むと、「糖分の摂りすぎ」に。余分なカロリーを摂取することになります。

糖分過多を防ぐためには、「少し薄めにして飲む」とベター。ドラッグストアやスポーツショップに行くと、スポーツドリンクの顆粒タイプが売られています。練習や試合に行くときには、市販のスポーツドリンクを半分ほどに薄めたものを持たせてあげるといいでしょう。

>>注意2:サビを防ぐため、使う容器や洗浄に気を配ろう!

スポーツドリンクを持たせるとき、自宅にある容器に入れることがありますよね。もしステンレスボトルに入れるなら、扱いに気を付ける必要があります。

ステンレス製の水筒は保冷機能があるため、特に暑いときには便利な道具。時間が経っても冷たさが保たれ、重宝します。ただしスポーツドリンクには塩分が入っているため、触れている部分を腐食させる恐れも。つまり塩分によって、「サビる」恐れがあるということです。

「東京都福祉保健局」の公式サイトでは、「水筒、やかんなど、金属製の容器の使用方法にご注意ください!」というページで、炭酸飲料やスポーツドリンクなどを、水筒に入れるときの注意点を紹介。「サビや傷があると、本来食品や飲み物がふれない部分が露出して、そこから金属成分が溶け出すことがあります」と注意を喚起しています。

危険性がある以上、スポーツドリンク用の水筒としては、ステンレスボトルは使わないほうが安心かもしれませんね。ただし、「使えない」というわけではないようです。サビるのを防ぐためにも、使用後はすみやかに、そして丁寧に洗うようにしましょう。

他にも、サビの危険性を回避するためには、プラスチック素材でつくられた「スクイズボトル」を使うのも一つの手。ステンレスボトルのような保冷効果はありませんが、比較的安全に使えそうです。また、スポーツドリンク対応のステンレスボトルも発売されていますので、探してみるのもいいですね。

たとえば、象印の保冷専用ステンレスボトル『TUFF(タフ)』は、独自の内面フッ素コートを2度コーティングすることで、厚みを従来の約2倍に改良。「塩分によるボトル内面のサビ・腐食の発生を抑え、スポーツドリンク対応を実現しました」とアピールしています。

ただ、あくまで「サビに強い構造」になっているだけ。あまり長時間入れたままにするのは避け、使用後は念入りに洗ってあげたほうが安心ですね。

金たわしやステンレスたわしでごしごし洗うと、キズがつく原因になります。容器の奥まで届く柔らかいスポンジを使って、丁寧に洗いましょう。また、お茶による着色汚れを意識したものが主ですが、「ステンレスボトル専用洗剤」も売られています。必要に応じて使うといいですね。

発汗で失われたカルシウムを、しっかり補給するべし!

ジュニアアスリートが発汗によって失われたミネラルを補う上で、特に意識したいのが「カルシウム」です。

丈夫な骨づくりに活躍するカルシウムは、子供の成長に欠かせない栄養素。また、筋肉の収縮に使われる栄養素でもあります。1リットルの汗をかくと、40ミリグラムほどのカルシウムが失われるとも言われていますから、スポーツをしているなら、特に意識して摂りたい栄養素の一つですね。

主なスポーツ飲料の成分表示を見ると、ほとんどの飲料がカルシウムを含有。ただし、その量にはバラつきがあります。

▼代表的なスポーツドリンクのカルシウム含有量(100ミリリットル当たり)

・アクエリアス・・・・・・・・・・・・・・・・・・0.8ミリグラム
・ポカリスエット・・・・・・・・・・・・・・・・2.0ミリグラム
・グリーン ダ・カ・ラ・・・・・・0.2~1.0ミリグラム
・キリン ラブズ スポーツ・・・・・・・・7.0ミリグラム
・ヴァームウォーター・・・・・・・・・・・・4.6ミリグラム
・アミノサプリC ・・・・・・・・・・・・・・・・表示なし

たとえば、「キリン ラブズ スポーツ」だと100ミリリットル当たり7.0ミリグラムのカルシウムが含まれていますが、 「アクエリアス」だと0.8ミリグラム。「アミノサプリC」に関しては、表示がありません。

もちろん、カルシウムが多いから優秀なスポーツ飲料というわけではありません。でも、カルシウム摂取を期待して飲むなら、成分表示をチェックして、意識して選ぶ必要がありますね。

また、カルシウムは吸収率の低い栄養素。効率的に身体に摂り込むには、カルシウムを吸収させるための工夫も必要です。

そこで意識したいのが、カルシウムの吸収率を上げるマグネシウムとの同時摂取。「カルシウム:マグネシウム=2:1」という比率で摂れば、さらに吸収率もアップします。黄金比で配合したサプリメントなども販売されているので、必要に応じて活用すると良さそうですね。

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