カルシウム源は牛乳だけじゃない!成長期こそ活用したい「干し野菜」のススメ

成長期の子供の骨を強くするには、カルシウムをしっかり摂ることが大切です。牛乳からカルシウムを摂取する方法もありますが、牛乳は脂肪分が多く、カロリーも高め。満腹感から肝心の食事が十分に食べられず、栄養バランスが偏る点も気になります。

そこで、カルシウムを摂取する食材として注目したいのが、切り干し大根や干ししいたけなどの「干し野菜」です。干し野菜には、どれぐらいのカルシウムが含まれているのでしょうか?成長期に必要な鉄分や食物繊維にも注目しながら、自宅で手軽に作る方法も併せて紹介いたします。

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干し野菜とは?干すことで得られるメリットは?

天日干しすることで、野菜中に含まれる水分を抜く「干し野菜」。昔から、野菜を長持ちさせる「保存食」として重宝されてきました。水分が抜けることで、本来の旨みが凝縮されるのが干し野菜の魅力。また、歯触りや歯ごたえもよくなり、乾燥前とは違った食感が楽しめるのも魅力ですね。水分量が少ないため味も染み込みやすく、調理時間が短縮できるのも、忙しいお母さんにとってはうれしいポイントです。

今回注目したいのが、「栄養価もアップする」という点。干し野菜は、水分が抜けることで栄養がぎゅっと凝縮。乾燥前と比べて、カルシウムをはじめ、さまざまな栄養価が高くなるのです。

昔は、「カルシウムといえば牛乳」という考え方が一般的でした。保護者さま世代であれば、「飲めば背が伸びるから!」と言われて、一杯の牛乳を日課にしていた方も多いことでしょう。

ところが近年さまざまな研究が進み、いわゆる“牛乳神話”が崩壊。「牛乳を飲みすぎると肥満を招き、身長の伸びがゆるやかになる」「満腹感から、身長を伸ばすための大切な栄養がとれない」といったデメリットも指摘されています。

現在も、牛乳肯定派と否定派の激論は続いており、どちらが正しいかは断定できません。ただ、牛乳と比べてカロリーが低く、健康的な干し野菜からカルシウムがたっぷり摂れるなら、うまく活用したいものですよね。

一体、どれぐらい栄養価がアップする?

では、野菜を干すことで、どれぐらい栄養価がアップするのでしょうか?特に、気になるカルシウム量はどれぐらい増えるのでしょうか?文部科学省発行の「五訂日本食品標準成分表」で、その変化を見てみましょう。
 
<生しいたけVS乾燥しいたけ>

・カルシウム…………3mg→10mg
・鉄……………………0.3mg→1.7mg
・食物繊維……………3.5g→41g

<生大根VS切り干し大根>

カルシウム…………23mg→540mg
鉄……………………0.2mg→9.7mg
食物繊維……………1.3g→20.7g

※すべて、生→乾燥の順。可食部100gあたりの含有量で比較。生大根は皮をむいたもの。

比較してみると、干すことでカルシウム量が飛躍的に増えていることが分かりますね。しいたけは「約3.3倍」に、大根にいたってはなんと「約23.5倍」の含有量になっています。干し野菜をうまく献立に取り入れることで、効率よくカルシウムを摂取することができますね。

また、栄養価が増えるのは、カルシウムだけではありません。成長期に欠かせない鉄分や食物繊維の含有量も著しくアップしています。骨や筋肉が大きくなる成長期は、多くの鉄分を必要とする時期。特に、スポーツをしていると汗と共に鉄分が流れ出すので、要注意です。食事やサプリメントで、きちんと鉄分を補ってあげましょう。

なお、鉄分は単体で摂るのではなく、動物性たんぱく質やビタミンCと一緒に摂ることで、吸収率がアップするといわれています。頭に入れておいて、食事作りの参考にしてくださいね。

カルシウムの運び屋「ビタミンD」も、天日干しで増える!

しいたけや大根を天日干しすることで、ビタミンD量もアップします。骨を強くするためにはカルシウムを摂ることが大切ですが、実はそれだけでは十分とはいえません。

カルシウムは他の栄養素と比べて、体の中に吸収されにくい栄養素。吸収率を高めるためには、他の栄養素も一緒に摂ることが必要です。そこで重要な役割を果たすのが、「カルシウムの運び屋」の役目を果たすビタミンDなのです。

食事で摂ったカルシウムは、まずは胃に入って消化されます。その後、腸管から吸収されて、骨の栄養として利用されます。このときにビタミンDも一緒に摂っていると、「カルシウムの運び屋」として、カルシウムを血液中に取り込むように働くのです。

なお、ビタミンDが増えるためには、「干し方の条件」があります。それは「天日干し」であるということ。市販されている乾燥しいたけや切り干し大根は、熱風を利用した機械乾燥であることも多いようです。ビタミンDの生成には、日光が欠かせません。ですから、熱風で乾燥させただけでは、残念ながら豊富なビタミンDは期待できないのです。

購入するときには、パッケージに書かれた表記の確認を。ビタミンD摂取を目的にするなら、「天日干し」のものを選びましょう。ちなみに、調理する前に1~2時間天日干しすると、ビタミンDが増えると言われています。調理前のひと手間として、覚えておくといいですね!

自宅で作るなら?「自家製干し野菜」の作り方

スーパーマーケットや百貨店の乾物コーナーに行くと、たくさん並んでいる干し野菜。実は、自宅でも簡単に作ることができます。

近年の保存食への関心の高まりもあり、自家製の干し野菜づくりがテレビや雑誌などでも話題に。干し野菜を作るための専用の網や、カバー付きのざるなども紹介されていますね。専用の干し網がついたレシピブックを、書店で買い求めた方もいるのでは?

もちろん専用グッズがあれば便利ですが、干すのに特別な道具は必要ありません。普段キッチンで使っているざるや網などでOKです。

つくり方は、いたって簡単。野菜は洗って、水気を切ります。水分を飛ばすことを考えると、できれば細く、薄く切りましょう。そして野菜同士が重ならないように、広げて干すだけです。干すのは、風通しのいい場所で。ベランダや出窓、縁側、庭先などがいいでしょう。日中10時~15時がベストタイムと言われています。カラッとよく晴れた日を選んで干しましょう。 

成長期に必要なカルシウムや鉄分、食物繊維がたっぷり摂れて、しかも低カロリー。野菜ならではの旨みや歯ごたえも楽しめる干し野菜は、子供の成長を願うお母さんの味方といえそうですね!

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